股関節(手術含む)
股関節(手術含む)
まだまだありますが、これらは股関節の症状かもしれません。
股関節は、体を支えるためにとても大切な関節です。歩くときや階段を昇るときなど、日常生活の多くの動作に関わっています。
しかし、年齢を重ねたり、病気や遺伝の影響で、股関節に問題が出ることがあります。
この病気は、生まれつきや幼少期に股関節が正常に発育しないことが原因で起こります。以前は「先天性股関節脱臼」と呼ばれていましたが、実際には成長過程で脱臼することもあるため、現在では「発育性股関節形成不全」と呼ばれています。この病気は、新生児検診のおかげで早期に発見・治療されることが多くなっていますが、一定の割合で患者さんが存在します。
早期発見と治療の重要性
早い段階で見つけて適切な治療を行えば、多くの子供が正常な股関節の機能を維持することができます。お子さんの股関節の開きが悪い、動きが気になる場合、心配されるのは当然です。当院では、エコー検査やレントゲンを使って、しっかりと評価し、必要に応じた治療を行いますので、安心してご相談ください。
変形性股関節症は、股関節の軟骨が少しずつすり減り、骨同士が直接擦れ合うことで、痛みや関節の動きに制限が出てくる病気です。大きく分けて「一次性」と「二次性」の2種類があります。
明確な原因がなく、加齢に伴って自然に起こるタイプです。軟骨が年齢とともにすり減り、骨が直接ぶつかることで痛みが生じます。主に60歳以上の方に多く見られます。
何らかの原因があって発生するタイプです。日本ではこの二次性の方が多く見られます。原因としては、発育性股関節形成不全、骨折の後遺症、大腿骨頭壊死などが挙げられます。これらの病気やけがによって股関節に負担がかかり、軟骨が摩耗してしまうために発症します。
特に、若い頃から股関節に負担がかかっている方は、比較的早い段階で症状が進むことがあります。若いうちは体が丈夫で痛みが感じにくく、自分では気づかないことが多いのですが、股関節の形に問題がある場合、40代で重症になることもあります。このような場合、強い痛みや日常生活への支障が出てくるため、早めの治療が大切です。
大腿骨頭壊死は、54の指定難病の一つで、大腿骨(太ももの骨)の骨頭部分に血液が届かなくなり、その部分の骨が死んでしまう病気です。これにより、痛みや歩行の困難が生じることがあります。早期に診断し、適切な治療を行うことが非常に重要です。
男性では長期間の大量飲酒、女性ではステロイドパルス治療(強い薬を短期間に使う治療法)の関連が多いことが知られています。
急速破壊型股関節症は、比較的短期間で急激に股関節が壊れてしまう病気です。原因がはっきりしないケースもありますが、最近の研究では、軟骨のすぐ下で骨折が起こることが原因となる場合もあることが分かってきました。
この病気は、20代の若い健康な方から、後期高齢者まで、幅広い年齢層に発症する可能性があります。早期に保存的な治療を行うことで、手術を避けることもできますが、進行が早く、数か月のうちに人工関節が必要になることも少なくありません。
関節リウマチは、免疫システムの異常によって関節に炎症が起こり、やがて関節が破壊されてしまう病気です。股関節も影響を受けることがありますが、最近ではリウマチ治療の進歩により、股関節が重度に影響を受けるケースは減少している傾向があります。
股関節インピンジメントは、股関節の骨が通常とは異なる形状をしているため、股関節を動かす際に骨同士がぶつかり、関節や軟骨にダメージを与える病気です。若い世代に多く見られ、特にスポーツ中に痛みを感じることがよくあります。この状態を放置すると、変形性股関節症へと進行する可能性があるため、早期の診断と治療が非常に重要です。
化膿性股関節炎は、細菌が股関節に入り込み、感染を引き起こす病気です。強い痛みや腫れが現れ、すぐに抗生物質での治療が必要です。場合によっては、外科的な処置も行うことがあります。早期に治療を開始しないと、股関節が破壊され、重度の機能障害を引き起こす恐れがあるため、迅速な対応が大切です。
小児期に一時的に股関節に炎症が起こる病気です。軽い風邪の後に発生することが多く、数週間で自然に回復することがほとんどです。ただし、痛みや歩きにくさが生じることもあります。化膿性股関節炎との鑑別が非常に重要です。
10歳から15歳の成長期の子どもに多く見られ、特に体重が多い子どもに発生しやすい病気です。大腿骨頭が成長軟骨帯でずれてしまいます。早期に治療を行わないと、股関節が変形し、将来的に足の長さが違う、股関節が動きにくい、といった問題が出てくることがあります。その結果、腰痛や膝痛を引き起こすこともあります。
5〜10歳の子どもに多く見られる病気で、大腿骨頭への血流が一時的に遮断され、その部分の骨が壊死してしまいます。早期に適切な治療を行うことで、骨が再生することが期待されますが、骨頭すべり症と同じく、将来的に足の長さが違ったり、股関節の動きが悪くなったりする可能性があります。それが原因で、腰痛や膝痛を引き起こすこともあります。
股関節の疾患に対する治療は、その原因や症状の程度に応じて異なります。一般的な治療方法には、以下のようなものがあります。
症状が軽い場合に、安静にしたり、薬物療法や理学療法をおこなったりして症状の進行を抑える方法です。筋力を強化し、痛みを軽減することを目指します。必要に応じて、装具(サポーターなど)を使うこともあります。
症状が進行し、保存療法では改善が難しい場合に、手術が検討されます。若い患者さんには関節を温存する手術が行われることがありますが、変形が進んでいたり、痛みが強い場合は人工股関節置換術が選ばれることが多いです。最近では、コンピューター支援で計画通りの正確な手術が可能になり、インプラント(人工関節)も長持ちするようになりました。そのため、人工股関節を選ぶ方が増えています。
特に若い方の場合、将来的に人工関節の再手術が必要になるリスクはありますが、働き盛りの年代でも、手術後1か月ほどで元の生活に戻ることができるため、人工股関節を選択される方が増加しています。
どちらの手術にもメリット・デメリットがあるため、最終的には主治医とよく相談し、納得の上で決断することが大切です。
リハビリテーションは、手術後の回復や保存療法の一環として、関節の機能回復と痛みの管理に重要な役割を果たします。筋力を強化し、関節の柔軟性を保つことで、日常生活の質を向上させることを目指します。
当院では、開院後しばらくは外来でのリハビリテーション体制が整っていないため、場合によってはご希望に沿えない可能性があります。その際は、信頼できる専門医をご紹介させていただきますので、ご了承ください。
当院では、人工股関節全置換術を提携施設で行います。人工股関節全置換術にはさまざまな方法がありますが、主な特徴は以下の3点です。
手術後、動作に関する制限はほとんど必要ありません。非常に強度の高いコンタクトスポーツ以外であれば、手術前にできていた動作をそのまま行えます。周りの意見に惑わされないでください。
手術は、皮膚を横に切る「ビキニライン」の方法で行います。この方法により、体質にもよりますが、ケロイドのように大きく腫れることはほとんどありません。女性でも、手術痕は下着や水着の中に隠れるため、目立たないことが多いです。
術後に足の長さが1cm違っていても、痛みがなければ問題ないとお考えでしょうか?ナビゲーションなどの手術支援システムは誰でも使用可能ですが、動作制限をなくすためには、適切な計画と、それを正確に反映する手術技術が重要です。当院では主にCTナビゲーションを用いますが、必要に応じて3Dプリンターで作成した患者固有のテンプレート(PST)も使用します。
特に後者は院長が開発・導入に注力したシステムです。これにより、手術直後から積極的なリハビリテーションが可能となり、退院後の日常生活に制限がかかることを最小限に抑えることができます。
手術後のリハビリテーションや日常生活に不安を感じる場合でも、当院が引き続きバックアップいたします。入院中のリハビリテーションだけでなく、退院後の診療やリハビリテーションもサポートいたしますので、安心してご相談ください。
関節温存手術は、適切なタイミングで行えば良好な結果が期待できます。ただし、人工股関節の手術と比べると、どんなに経験豊富な医師でも結果にばらつきが生じることがあります。近年では、骨切り術もコンピューター支援により正確に行えるようになってきましたが、その設備を整えている医療機関は限られています。手術を希望される方には、大阪大学医学部附属病院をご紹介いたします。